2024 安田記念予想・回顧

【予想】

ロマンチックウォリアー

能力レベルでは最上位なのでこの馬のタイプと今回の条件の照らし合わせで取捨を決める。

タイプとしてはあまり軽さのないパワー持続系で先週のダノンデサイルと近い。ラップの緩急のない一本調子な持続質戦向き。

4角で前を射程圏に入れてそこからパワーで押し潰すようなスタイルなので日本の高速マイルへの短縮で位置を下げてしまうと危ない。直線だけで瞬発力と速い脚でどうこうというタイプではない。

道悪で全体的なスピードの要求度が下がるのはとりあえず必須と見る。道悪＋中盤が緩んでの瞬発力戦だと、仮に位置を取れていたとしても日本の瞬発力タイプには遅れを取るイメージ。道悪の持続、消耗質戦になってやっと好走ゾーンに入って来る。

ソウルラッシュ

かなり強くて良い馬だがトップスピードに限界がある印象。なので相手が強くないG2、G3なら地力で勝ち切れるが、G1(特に東京)になるとあと一歩が足りなくなるイメージ。

とにかくジリっぽい、瞬発力に欠けるパワー持続タイプのイメージだったが、昨秋のマイルCSでインで脚をためて直線に入ってから一瞬の加速で馬群を抜ける所が見られた。前走のマイラーズでも同様。鞍上が替わっても同じ性能を出せているので、今は持続力、瞬発力両対応と見て良さそう。

ただ今回は東京のマイルG1なので、瞬発力があったとしてもその後のトップスピードが足りなければ勝ち切るイメージは持てない。これもロマンチックと同じように道悪でスピードの要求度が下がって欲しいタイプ。

最初に書いた通り強くて良い馬なのでどうなっても消し辛いのは事実だが、良馬場なら単はないという振り切り方で臨めたらと。

セリフォス

この馬の持ち味は3歳富士S・マイルCS・4歳安田で見せたようなキレ味の鋭い瞬発力とトップスピード。

昨年の安田→マイルCSでレーン→川田への乗り替わりがあり、位置を取って持続的な乗り方をするタイプの川田との相性の悪さを見せた(休み明けぶっつけG1というのもあったが)。レーンは位置を取った上でしっかり脚をためられるのが凄い。

マイルCS(G1)で初角3番手を取れてしまうような前向きさのある馬なのに、前走のマイラーズではダウン＋道悪でレース質がかなり緩くなっているのにも関わらず脚をためる事が出来て好走。これは馬体増も示している通りかなり緩い仕上げで、馬にスイッチをあえて入れていなかったというのがありそう。

そして叩き2走目の今回、気合を入れて大外枠から壁を作れずに前に行ってしまうと、格上げで位置取りを上げてしまい負荷が強まる＋馬体減で外を回す体力的に厳しい形に。後方で我慢してインを突くくらいの胆力があるかどうか。馬場的には良馬場ベター、展開は中盤緩んでの2〜3ハロン戦が理想。

あとは2歳、3歳の頃からしっかり完成度が高かったタイプなので、現状は下降線の中にいると思われる。

ナミュール

東京対応もしているが案外瞬発力というより持続的な末脚を使うジャスティンカフェ的なイメージとVM時に書いた。牝馬限定の東京マイルらしい中盤緩んでの瞬発力戦なら危ないと見て評価を下げていたが、結果的には持続質戦になったものの差し込んで来れず。X等で最近よく聞く通り、ハービンジャー産駒自体が武豊の騎乗スタイルと相性が悪いという事で良いと思う。

一瞬の加速力に欠ける馬なのでスムーズに加速し辛い内枠は難しい。奇跡的に進路を取れて上手く追い出したとしても、相性の悪い武豊だとどこまで来れるか。

チェルヴィニアのルメールの重い馬をズンズン動かすような追い方を見ると、武豊のそれとは全然違う。両者に合う合わないがあるだけで、良い悪いの話ではない。

ガイアフォース

前向きさが強いタイプで、一本調子な持続質のペースを惰性で走って雪崩れ込む形が最も得意。スロー瞬発力戦でためてどうこうという懐の深さは持っていない。

常に自身の形をぶつけてそれがどうなるかという単調な競馬スタイルのため好走時の打点が高い代わりに戦績が安定しない。

これまで激走後に1度も馬券になっていないのは、元々の精神力の薄さと、1度の好走でのエネルギー放出量が大きい事(前向きさが強いため)も影響している。

消耗戦のフェブラリーS激走後に休み明けで多頭数G1の内枠、基本的には苦しいタイミングだと思うが。

スローならほぼアウト。ハイペース持続質戦＋揉まれないスムーズな形ならなんとか、というイメージ。

パラレルヴィジョン

持続質寄りの馬で前走同等の内容で走ったら頭は厳しいと見ている。

破綻の少ないまとまった先行馬で、VMのフィアスプライドのようなパターンはあり得るが、そういう破綻展開を想定するかどうか次第。

稍重ならなんとなく残るパターンもあるか。

ステラヴェローチェ

瞬発力とか軽さがあまりないパワー持続タイプ。前が垂れる厳しい展開で雪崩れ込む前走のような形がベスト。

そうなると中盤が緩んで瞬発力が必要となる東京マイルへの適性は高くない。

道悪は上手いので、道悪＋ハイペース消耗戦のようなパターンになれば雪崩れ込める。

ウインカーネリアン

先行力があって高い持続性能があるので、東京新聞杯のようなコーナー角の緩まるDコースで一本調子な形を取れば強い。持続展開で適性的に合ったナミュールにも勝ち切れるレベル(2023東京新聞杯)。

自身で中盤を緩めてしまって他馬が瞬発力を使える展開を作ってしまうと差されてしまう(前走)が、抑揚のない淡々とした厳しいペースを刻めば自身だけが残れるような展開に自ずとなっていくようなイメージ。

道悪も悪くないし、マイル重賞2着→スプリントG1で4着からの臨戦なら躍動感とリズムもあるしこれは買ってみても良い。緩めたらソウルラッシュには勝てないかな。

ヴォイッジバブル

2,3着が多くて目立たないキャラクターだが、タイプとしては軽くもなく重くもなく、ある程度位置を取って少しの瞬発力で再加速、弱い馬は交わせるし簡単には差されないというイメージ。M的な表現をするなら精神力補完のあるまとまり系といった所。ウインカーネリアンとソウルラッシュを足して2で割ってすこし輪郭をぼやかしたようなイメージ。

昨冬の香港マイルでソウルラッシュ、ナミュールに勝った事もあるし、今回のメンバーで引けを取るような能力レベルではない。

これは今回まとまり系の人気落ちの構図になる。能力の証明もあって、リズムも特段悪い訳ではないのに存在感が消えている。

重、不良までいけばロマンチックウォリアーの方が強いと思うが、そこまでズブズブの馬場にならないのであればこちらが先着する可能性は十分ある。

ジオグリフ

皐月賞馬という事で同じ内回りの2000mの大阪杯で本命に評価していたが、ラップの中身を見ると皐月賞はラスト2ハロンの瞬発力戦。大阪杯は5ハロンのロンスパ持続戦という事でまるで中身の違うものだった。

精神力系の叩き2戦目らしく馬体を絞って集中度を高めての臨戦で、皐月賞とは全く別の適性を求められた中で5着と善戦している中身については評価したい。

今回、道悪になるので超持続質というパターンにはならないと見ている。大阪杯よりは皐月賞寄りの瞬発力展開の想定。それであればもう1回買ってみたい。

3着、5着と均衡気味のリズムではあるが、このくらいの均衡を破るのに稍重の内枠、さらに人気落ちというのはベストな条件。

短縮での追走スピード要求も道悪なら緩和されるし、インで脚をためてスッと抜け出して来る競馬に期待出来る。

【評価】

◎ジオグリフ

◯ソウルラッシュ