【個別分析】
①テイエムスパーダ S OP〜G3
Sを使って逃げている馬だが、爆発的な強さのSではないし交互系のS質でもない。能力的に足りていないので大きな前バイアスに乗れてどこまでか。この手のタイプの斤量増は良くない。一瞬これか?と考えたがちょっと足りない。
②ジャンダルム MS G3
昨年は一時的にスタートが悪くて追い込み届かずという競馬をしていたが、ここに来てスタートが安定して来た。Hペースの高松宮記念で馬なりで直線で先頭に立てるくらいの安定した先行力。体力に頼る持続タイプではなく、直線の短いコースでクルッと回って立ち回り力を活かすのがこの馬の形。
前走は休み明け+大外追走での体力破綻。走れるタイミングでの人気落ちには警戒しておいた方が良いタイプ。凡走後で動けるタイミングで高速馬場の中山1200の内枠、スタートを決めてスッと先手を取れば走れる。
③メイショウミモザ S G3
LやCの後ろ支えが弱く、1戦必勝でSを放出して来る交互系。6走前の巌流島Sで11人気で0.5差の圧勝をしている時点で異質な馬だと判断出来る。阪神牝馬は自身の交互+休み明けのもっさりした人気馬達と一線を画する1200臨戦という鋭さで激走。VMは完全に×のタイミング。クイーンSは適性外の距離を先行して体力切れ、前走は大外を回して体力切れ。体力ではなくSの鋭さで勝負したいS系の牝馬、凡走後の内枠でタイミングとしては悪くない。Sによる激走のスイッチさえ入ればそこそこ突っ込んで来る。
④ダイアトニック LS G3
全盛期はもっとSが強くて、それをCと取れてしまうくらいのレベルの力強さがあった。金杯からの短縮1400の阪急杯はLっぽくスカッと勝てるが、延長での安田はC的にキツいというのが現状。活力自体の低下も感じるので今はダウン1400がベスト。安田からの王道短縮でショッカーっぽい構図になっているが、3着だった宮記念も差しというよりは前でパワーで押し切る内容だったし案外1200を差して好走した実績は薄い。M的な構図と内枠だけで買うには心許ない。
⑤エイティーンガール CL G3〜G2
単純な追い込み脚質のLS系ではなく、C系らしく叩いて集中してパフォーマンスを上げて来るタイプ。2年連続で連対していた得意条件のキーンランドを叩き台に使ってここを狙う臨戦にはかなりの好感を持てる。その前走もC系の休み明けとしては上々の内容。Sと活性の不足だけが懸念で、道悪外差しのバイアスがあれば本命まで考えられたタイミング。
⑥ナランフレグ LS(C) G2
SではなくLで飲み込むタイプの追い込み馬。高松宮記念で馬体を減らして激走した後だった前走の延長は肉体的にかなりの苦のタイミング。宮記念で多少なりともエネルギーを放出していた事を考慮するとよく耐えている。タイミングが良ければマイル重賞でも十分狙えるタイプの馬だと思う。安田を使ってカテゴリーストレスを抜きつつの王道短縮という臨戦はかなり良い。休み明けで疲労もないので動けるタイミングで、ギアが入っていれば馬群も割れる。
⑦ウインマーベル LS(C)量 G3〜G2
橘ステークスでLっぽく巻き返した直後のアップ短縮で位置を下げて1人気1着の圧勝という時点で馬質的にかなりしっかりしている。そして初の古馬重賞への格上げでもしっかり対応。Sに特化したスプリンターではなく、現状は量や精神力を感じさせる挙動でまだ奥行きがありそう。鮮度と量を保有していてリズムも良い。スプリントG1で明確に能力が足りているかどうかは分からないが減点材料はない。
⑧ファストフォース M G3
Sが強くない割に先行力はそれなりにあるという馬で、スムーズに前で運ぶ事が出来れば惰性で残せる。前走単発の内容に関してはそれほどストレスを残すものではなかったが、サマースプリントシリーズを3つ使って来たというのはあまり良くない。鮮度も薄いし上げ幅は全く持っていないので、その中で内前有利なトラックバイアスに乗ってどこまでか。
補完でCを持っているのでG1でも大きく崩れないが基本的にSやCに特化したチャンピオンタイプではない。クラシック路線から外れた事で戦う相手がガラッと変わり、かなりの鮮度補完を受けて気持ちよく走ったのが函館SS。前走の北九州記念は鮮度的にもリズム的にもまだ大丈夫という所で、必要以上にエネルギーを使って激走してしまったという内容。2回使った事で鮮度とSのストックを消耗し、こうなるとほぼ本質のみで戦わないといけなくなるというのが今回。人気を背負ってのスプリントG1という舞台で、本質と少しの鮮度だけでは若干荷が重い。
⑩タイセイビジョン LS G3
重くもなく軽くもなく、Sは効いているが中途半端にLが蓋をしているイメージ。致命的な疲労やストレスは抱えておらず、リズムの良い差し馬なのでそれなりに走れると思うが、挙動的にも戦績的にも躍動感に欠ける。こういうのが来れるとしたら道悪等で差し展開に大幅に振れるパターン。
⑪トゥラヴェスーラ LS(C) G2
休み明けやダウン、カテゴリーチェンジに反応して走ってくるLS系。夏のスプリント路線を使い詰めていた場合、初戦はダウンで連対するだろうが今の不気味さは醸し出してないと思う。ポイントポイントで良い走りをしてくるのでLS系の中では良い部類の馬だが、芯の強さや勝ち切る資質という意味ではワンパンチ足りない。
⑫ヴェントヴォーチェ LS G3
スピードを持続させるSの強いスプリンターではなく、タメを作ることによって瞬発力を出せるタイプの馬。前走ルメールが完璧に乗ってあの程度の内容なので基本的には足りていない。グッとタメて追い込みに回れば自身の能力は出せるがそれが出来るかどうか。
⑬メイケイエール LS G1.5
G2までなら量が効く1400ベストのLS系でCはそこまで感じない。許容範囲系の馬。
休み明けの前走で馬体増で気持ち良く走った後の格上げになるので、タイプ的にはパフォーマンスを落とすベクトル。その中でどこまでまとめられるか。
⑭ラヴィングアンサー LS OP
重くて活性に欠ける体力系の差し馬。レース質とトラックバイアスにタイプが噛み合っていない。
⑮シュネルマイスター CS G1
格と精神力を兼ね備えた良質馬。馬の造りはこのメンバーの中でトップクラス。マイルからのカテゴリーチェンジで実質的には相手弱化の構図になるので格でそれなりにはまとめて来そう。ただ明らかにSではなくCに寄っていて、カツカツというよりは優雅なタイプなのでこのカテゴリーでいきなり頭でズコンというイメージは薄い。買うなら単ではなく複。
⑯マリアズハート MS OP
牝馬にしては馬体が大きくてパワーがあるが一定のCも保有しており、結果的にどっちつかずの中途半端なM系というイメージ。前走の凡走は激走後の反動の場面だったので酌量出来る。能力的に足りていない馬だが、走れるタイミング+カテゴリー鮮度があるので内枠なら考える事は出来た。
【評価】
◎ジャンダルム
◯ウインマーベル
▲メイショウミモザ
明らかにパフォーマンスを落とすであろうタイミングのメイケイエール。
耐えられるかもしれないけれど破綻の可能性も秘めているナムラクレア。
格でまとめられるかもしれないがタイプ的には明確に合わないシュネルマイスター。
これら3頭を丸ごと無視して、能力では劣っているが減点材料が少なく、内で無難に走れる3頭を評価しました。