【個別分析】
①マカヒキ L G3
【個体】ダービーを始め、所々でC的な挙動を見せるがその度に大きくエネルギーを放出して来た馬。駆動が落ちて自身で動ける状態ではないので、前が残るような単調なレースでは何も出来ない。レース質がタフに傾いて底力勝負になった時に顔を出せる高齢の体力系差し馬。
(ハイペースバテ差し)
【短評】まずジャックドールが逃げ残るようなレースは合わない。パンサラッサの作るタフなレースはバテ差し系の今のこの馬にぴったりだが、マイル級の追走スピードには明確に苦を感じてしまう。道悪なら3着の可能性を残しても良い馬だが良馬場だと流石にどうか。
②アイスバブル SL OP
【個体】致命的に位置を取れないが、意外と2000以下のピリッとした流れの方が合っている印象で、寧ろ2200以上で自力で押し切れるような体力系ではない。ピンポイントでSの後押しを受けて激走するタイプで、そのタイミングについては理論でどうこうではなく感覚と思いつきで拾っていくスタンスで良い。
(1800〜2600)(条件替わり)
【短評】ハイペースの2000は合いそうだがこの臨戦だとリズムを乗り越えられないイメージ。激走のタイミングを明確に掴むのは難しく、所謂くじ引きタイプなので買う事自体は別に悪いとは思わないが。
③パンサラッサ SL G2
【個体】G2以下限定で量が効くが、基本構造は並のSL系の体力型先行馬。G2までなら「競りかけると自滅してしまう」と他馬に思わせる量的な存在になるが、個体の中に無尽蔵の体力や良い精神力があったりするタイプではないのでG1ではあっさり弾かれてしまう。距離についてはレースレベルが低ければ2200でも保つと思うが、強さを見せられるのは1800〜2000というイメージ。
(1800〜2000)(G2以下)(ダウン)
【短評】G1凡走後のダウンでこの馬自身は走れるタイミング。ただしG2でもタフな洋芝2000mだと体力的にギリギリのラインなので中山記念の時よりはラストで垂れる想定は持って良い。オクトーバーSでプレシャスブルーとアタマ差だった時と同じようなイメージ。
④ジャックドール LC G2
【個体】自身の闘争心やエネルギーで力強く走る逃げ馬ではなく、ある程度楽にマイペースで運べば最後にもうひとギア使えるというフィジカル面の強さが脚質と量によって最大限活かされているイメージの馬。この馬は自身が王様になれる(量が効く)レース向き。他馬のペースに合わせたり、他馬の圧を受けても強さを滲ませられるタイプではない。
(1800〜2000)(スロー)(ダウン)
【短評】休み明けでダウンになるタイミング自体は悪くないがパンサラッサの存在がかなり良くない。離れた2番手でマイペースに運べたとしてもどうしてもパンサラッサ主体のレースになってしまうし、この馬が主役にはなれない。可能性はゼロではないが、そもそもスロー向きの個体で好走レンジが狭い。
⑤サトノクロニクル LS OP
【個体】緩い体力差しのLS系で、加齢によって淡白さがかなり表に出ている状態。ダウンで1回反応してしばらく凡走を続けてというリズム。
(1800〜2200)(ダウン)(連続好走×)
【短評】こういう格の必要な重賞では厳しい。この後の大幅ダウンで。
⑥グローリーヴェイズ MC G2
【個体】良質な精神構造と基礎能力を担保にして安定したパフォーマンスを見せるタイプで、強いSの駆動や膨大な体力を保有している訳ではない。無駄に使われていないので消耗が抑えられているが7歳になって明確にまとまりにシフトして来ている。格持ちの高齢馬らしく着拾いは出来るが勝つ所がイメージし辛い。
(2000〜2400)(人気薄時の紐)
【短評】今は量系の優しい前哨戦向きのタイプで、レースの強度が上がると素直に苦を感じてしまうイメージ。後方で構えて展開破綻のちょい差しなら可能性はあるが、まともにパンサラッサのレースに入ってしまうと厳しい。
⑦ハヤヤッコ SL G3
【個体】パワー型で体力も豊富な力強いタイプで、その分スピード能力はやや落ちる。日経賞の上がり最速5着は、前が残る緩いレース質でこういうバテ差しタイプからすると完全に逆質の中での内容なので一定の評価が出来る。
(2000〜3000)(道悪)(ハイペース体力差し)
【短評】短縮だった前走は道悪が明らかに向いたが、それでもハイペースを自力で動いて4角2番手からの押し切りはかなり力強い内容。同型のマイネルウィルトスに完勝というのも強い。0.2秒差だが圧勝だったし、激走らしい激走の挙動ではなかったのでストレスよりも勢いを買ってみても良いタイミング。体力差し向きの今回のレース展開にも合うし、連チャンイメージで拾うのは面白い。
⑧フィオリキアリ LC OP
【個体】緩い体力系だが牝馬らしく精神力も若干保有している。牝馬限定等で強過ぎない相手と体力質のレースでというイメージの馬。どこかで良い穴は空けそう。
(1800〜2200)(体力質)(人気薄)
【短評】休み明けで準OPを勝ち上がった直後の重賞挑戦で馬群に入れて投げ出さないのは立派。良いCを保有しているがここでは流石にスケール感が足りない。
⑨ウインマリリン S(SC) G2
【個体】この馬は明確にSC質を保有しているが完成したSC系ではない。Sのリズムの中でポイントポイントでSCを引っ張り出してくるようなイメージの馬。Lが薄いのも特徴的で、そのせいで安定感が出ない。体力が薄いので好調時の軽い休み明け(2021オールカマー)がベストで、もう1パターンは単純にリズム良く調子を上げながらも疲労が薄いタイミング(2021日経賞)。スロー寄りの緩いレース質でキレを引き出すタイプ。
(2000〜2400)(スロー)(リズム要求)
【短評】宝塚7着で一定のリズムをキープしつつのダウンという事で個体としては走れるタイミング。ただレースが体力質に傾くとこの馬の良さが活きて来ない。
⑩ソダシ SC G1
【個体】オークス、秋華賞、チャンピオンズCのどれもがレース質が体力質、L質に寄った事によって投げ出している。昨年の札幌記念に関しては終始S全開で押し切っており、2走前までのマイルG1連勝のリズムと勢いを最大限活かした好走という見方。距離というよりはレース質が体力ではなくスピードに寄っている事が重要で、牝馬限定とは言え4歳春まででマイルG1を3勝しているのは強さの証。量はあまり無い。
(1400〜1800)(スピード質)
【短評】グローバルリズム的な視点でマイルG1好走後というのをまず考慮するべきで、ダウン延長の札幌2000を連勝で持っていくとしたらエアグルーヴのようなスケール感で抜けている量系、もしくはG1級のS系が連チャンで持っていくパターン。現状のこの馬はそのどちらでも無いかなと。S質のレースの中で精神力を研ぎ澄ますタイプで、どちらかと言えばダウン凡走→アップマイル好走の交互質のイメージの方が強い。そしてパンサラッサの逃げに対する追走自体は問題ないが20〜22級の体力の要求があるとベクトルがもう1つズレる。
⑪ユニコーンライオン CS(L) G2
【個体】体力はしっかりと保有しているが構造としては力強さと精神力を兼ね備えたCS系のイメージ。ダートで全く走らないのもCの雰囲気を醸し出している。若駒時の戦績は一旦全て置いておいて、長期休養明けとなった3勝クラスのストークSからの馬質判断で良い。スローの鳴尾記念を大差で逃げ切った後の格上げペースアップ宝塚で内枠からレイパパレを差し返すのはLでは出来ない。かと言って爆発的なSの連チャンの挙動でもなかった。体力保有の良質CS系先行馬という中々珍しいタイプ。
(1800〜2200)(叩き良化型)(良〜稍重)
【短評】パンサラッサの刻む厳しいラップでも垂れない体力と格を保有しており、宝塚2着の先行馬をスムーズに評価する感覚で問題ない。懸念は1年ぶりの前走からの2戦目でどこまで仕上がっているか、洋芝+ハイペースで大幅にタフになるとC系として投げ出す可能性の2点。2つの懸念をクリアしてハマれば頭まで来れる資質はある。
⑫アラタ LM OP〜G3
【個体】重い体力系のLSベースだが中途半端に精神力もあってこじんまりまとまってしまっている。OP〜G3あたりの中距離の道悪で強過ぎない相手と。
(2000〜2600)
【短評】適性は合うが格と能力で明確に足りていない。ここを弾かれた後のダウンでという馬。人気になりやすい馬だがまだ重賞で連対がないというのはしっかり見ておいた方が良い。
⑬レッドガラン ML G3
【個体】個体の中に強いSはなく、精神面も含めた安定感と補完の体力を活かして無難な好走をするタイプ。基本的に自身より走っている馬を差す力はないので上位人気向きのタイプだが、かと言って勝ち切る力には欠ける。破綻レースで凡走しない強みがあるので人気落ちのタイミングで注意。上位人気なら紐、人気落ちなら展開次第で単でも。
(1800〜2200)(ダウン)(人気落ち)
【短評】心許ない上位人気馬がハイペースを苦にして崩れた中で人気落ちを利した前走が本質。勝ち切った後にリズムでもう1発というタイプでは無く、評価するとしたら継続して人気薄で特に何もしなくて良い立場を利して中団からのちょい差しというパターン。格重賞で自力で勝負出来る力強さは無いので展開のアヤをついた3着に注意という程度。
⑭ユーバーレーベン LC CL G3〜G2
【個体】精神力の補完があるタフな体力系。同じ東京2400でもタフなオークスで強さを見せて、単調なJCでは無難に掲示板前後というのがこの馬のタフ向きの適性を示している。他馬が体力破綻を起こすようなタフなレースで芯の強さを発揮するタイプ。
(2000〜2400)(タフ条件)(人気薄時)
【短評】1人気の京都記念で5着だった馬がアップのドバイシーマでも5着というのが面白い。シャフリヤールやコントレイルが勝つ瞬発力質のレースは逆質だし、アフリカンゴールドが勝つような単調な体力レースもイメージがズレる。パンサラッサが引っ張って大幅にタフに傾く今回はこの馬の適性的に好走は見込める。活性的に道悪ベターだったが評価する価値はある。
⑮ケイデンスコール LS(C) G3
【個体】中途半端にCを持っている繊細なタイプで、好不調の波が激しく、それはSというよりはC由来のもの。昨年の金杯〜マイラーズの一連の流れはCを引出しての充実期。そこから再びリズムを崩してという状態。良き頃合いで復活はありそうだが休み明けでいきなりというタイプではない。復調の兆しを見せた後で。
【短評】前走で完全に不振期の底を打ったイメージなのでここからリズムは切り替わりそう。ただやはり精神力で好走する馬なので休み明けでいきなりというイメージは薄い。2年振りの2000mというのは良いのだが直前に1戦使っていた方がベターだった。
⑯アンティシペイト SL OP〜G3
【個体】パワー体力型のSLで本来は中距離カテゴリーでタフ適性を活かすタイプ。緩い長距離戦を溜めながら体力で圧倒していくような量的なタイプではない。
(1800〜2200)(ハイペース)(ダウン)
【短評】前々走の福島民放杯はハイペースを捲って圧勝した強さを評価するより、ハイペースで他の馬が軒並み凡走したというイメージで捉えておきたい。一定の能力があるのは認めるがそこまで力強さは感じない。今回のレース質は合うが七夕賞3着馬では格が足りない。
【評価】
◎ハヤヤッコ
◯ユーバーレーベン
☆ユニコーンライオン
パンサラッサは走れるタイミングだが格が足りないのと体力もギリなので垂れる想定に。
ピンかパーのタイミングだが芝の鮮度もあるので連チャンに張るイメージで、尚且つ位置も取れているハヤヤッコを◎に。
距離足りないという不安あるが思っているより差しが効く舞台+パンサのHペースならという事でユーバーレーベンを◯。
いくつか条件がハマればという条件付きのユニコーンライオンを☆で。
ハヤヤッコの単複、ユーバーレーベンの単複がメイン。ユニコーンの単は少しだけ。