2020 安田記念
東京芝1600 14頭
【個別分析】
❶ダノンプレミアム LM
休み明けだった秋天がベストパフォーマンスで、その後でパフォーマンスを多少落としたマイルCSでも能力でまとめている。一貫してLっぽい馬なので自分より格下の相手には量を発揮出来てしっかりまとめられるというイメージ。精神力とか底力のような部分を求められると厳しい。今は休み明けの前哨戦1人気1着の馬なんだよなという印象。前走の負けは良くもなく悪くもなくという感じで、能力が下降線に入って来ているような感じもしているので今回のメンバー相手に量だけでこなすというのは厳しいと思う。
❷ダノンキングリー LM
個体にもうSとかCはあまり感じていない。毎日王冠と中山記念のパフォーマンスが良過ぎてこれが強いLの証明になっている。大阪杯は普通にキツいタイミングだったと思うが距離鮮度と逃げの位置取りでギリギリ3だったという見方。今回は大阪杯からの異端は引いているが、間隔が空いていない臨戦で短縮でマイルのG1に出てくるというのは普通にタイプ的に厳しい。がっつり追い込みに回ったりした方がまだ面白いかなと思うが戸崎だと無難に乗ってきそうなので要らないと思う。
❸ノームコア L(SC)
前走は走れるタイミングで普通に走って能力的に3着でしたという内容。がっつり馬体を絞っての好走で基本的には今回は反動が出るターンと見たいかな。派手な位置取りショックを掛けない限りはしっかりレースにコミットしてしまい、単純に格上げ内枠になっているので馬は苦に感じると思う。
❹クルーガー SM
国内のダート→海外の中距離という路線を歩んでからの国内マイル路線戻り。東京新聞杯で良い先行活性が入ってからの前走で軽く位置取りを掛けて差しに回って0.3差の圧勝。4人気1着で東京新聞杯からの前走が跳ねた場面という事で綺麗に完結している。ここで格上げでもう一発というのはキツい。可能性があるとしたらSの連チャンだけだが前走の挙動的にそこまでの勢いは感じなかったし普通に交互になりそう。異端臨戦は引けているが2走前が東京新聞杯12人気5着という事で、自身がマイル重賞のカテゴリーストレスと蓄積疲労をしっかり抱えており個体として厳しいと思う。人気が落ちているがこれは厳しいかな。
❺アーモンドアイ L(SC)
レース中の他馬との関わりの部分でがっつり揉まれ込んだり、ぶつけられたりしたらもちろん危ないというのはあるがそれは他の全ての馬にも言える事。秋天で内枠に入った事でその部分を突いて評価を下げてみたが普通にこなされたし、昨年の安田記念で厳しい所からグイッと追い込んで3着を確保するという力強さも見せている。最大の武器であるスピードを最大限発揮出来る場である広い東京コースで走るという時点で、自身で破綻を起こさない限りは基本的に能力を出せると思っておいていいと思う。
今回は前走のVMから間隔が詰まっているというのが評価を下げるという点で見えやすい要素になっている。ただその部分については前走がほぼ調教のようなレースでの楽な圧勝だったので反動が残るような内容ではなかった。個人的には間隔の部分より前走の楽なレースからアップ質になる部分の方が不安点としては挙げられる。このアップ質をどこまでこの馬が苦に感じるかは分からないが臨戦としては多少なりとも楽→苦になると思う。ただ上述の通りスピードを活かせる場においては多少の苦については論ずるに値しないレベルだと思っているのでやはり評価は下げない。ただ休み明けでリフレッシュ状態で相手も弱かった前走の方が期待値は高かったと思うのでここで◎というのは打てない。
❻インディチャンプ LC
昨年の春秋のマイルG1を勝っているが弱い姿を度々はっきり見せている。G1への格上げでC系として結果を出しているとしたら昨年のマイラーズで3に残せなかった所、毎日王冠でアエロリットに差し返されている所、中山記念で3に残せなかった所なんかはどう見ても物足りない。そこに来て前走の楽な場面での軽い圧勝。安田記念もマイルCSも恵まれての1着なのでこの馬は大したことない。軽い前哨戦で楽に勝った後の格上げで本質を問われる場面。相手のレベルも高く相手の臨戦も悪くない。ここは本質が露わになってあっさり負けてしまうというイメージ。
❼ペルシアンナイト M(C)
Sが弱まって丸くなっている。中山記念の負け方がC系の休み明けの負け方ではなく、単純に能力的にもうついていけないという感じの負け方。マイルCSの3着と中山記念の5着がこの馬の現状のポテンシャルのライン。普通にやったら足りないし、このタイミングでは位置取りショック的な要素にもあまり反応できる感じではない。
❽ケイアイノーテック CL
Sのガツガツした感じがなくなって丸くなっているので延長というのは良い。ずっと位置を取れておらず活性的には厳しいのだが毎回上がりを使えているように馬に走る気はある状態だと思う。ただそれだけでは足りないというのがここまでのまとまった感じの戦績。延長とか相手弱化とか何かしらこの馬に優しいベクトルの要素を与えてあげれば多少着順は上がるかなという状態かなと思っている。
そして今回、格上げで相手は強くなっているが久し振りに延長で来ていて、更に道悪が残ればマイルG1とはいえこの馬自身は追走スピードが楽になる可能性がある。下手に位置は取らず、楽に追走して余力を残してからの追い込みに賭ける競馬が出来れば突っ込んでくる可能性はある。あとは展開さえハマれば。他馬ががっつりやり合っているレースにおいて完全ノンプレッシャーでレースの流れからも外れての追い込みなら意外と面白いかもしれない。
❾アドマイヤマーズ 精神力・量
昨年のNHKマイルの回顧で自分で書いた内容が、『C系ではないのだが大きな精神力を持っているようなイメージ。いわゆるC系の精神力ではなく、人間の精神論的な話で出てくる「気持ちの強さ」みたいなものを持っているイメージ。Sでは無い。並のダイワメジャーという枠は一回無くして考えてみても良いかなと思った。思っていたよりとても良い馬。』という事で今もその認識はそんなに変わらない。
富士Sでの負け方があっさりし過ぎでこの馬の姿を掴みづらくなっているが、前走の香港マイルでのしぶとさのある勝ち方も込みで強い馬だと思っておいた方が良いという感覚はある。量もあると思うのでC系で休み明けがまるっきりダメですという事も無さそう。今回いきなりマイルG1の激戦になるが、鮮度を持って異端臨戦を引いて外目の枠でとなると周りを見る事が出来てちょっと余裕は持てそう。そうなると量的な優位を感じて好勝負に持ち込むというイメージまで一応出来る。実際あまり掴めていないがここは印を打って見ておきたい。
➓ミスターメロディSM
高松宮記念の1着はちょっと変なレースだったので一旦無視しておく。超高速だったセントウルからスプリンターズで巻き返しているように、若干重めのまとまり系というイメージの馬。悪い馬ではないがあまり強さは感じていない。ちょっと遡ると3歳時にダート圧勝→ファルコン圧勝からのNHKマイルで頑張ってはいるが0.2差の4着という事で、あの時のSのリズムを持っていたらそのままSで乗り切って欲しかったけれどどうしてもまとまりっぽくなって4というイメージ。
今回完全に休み明けでがっつりの人気落ち。高速のスプリント戦よりはマイルくらいの方が良いと思うが馬券内に入れるほどの能力は感じない。
⓫グランアレグリア LM(量)
個人的に前走の追い込んで来る姿がSではなく量という感じだったし、NHKマイルの負け方もSのパンチ力に欠けるが量でなんとかまとめたというような感じで見ている。前走の高松宮記念は道悪で短縮優勢のSレースになっており、上位陣は皆そのSのレースの中で戦っているのに対してこの馬は一頭だけ別次元、別世界の走りで伸びてきている。よくある多頭数の激戦で前が精神力(C)の削り合いで凌ぎ合っている所を外からSの爆発力でかっさらうというようなパターンの別バージョン。Cのレースの中を外からSでさらうというのはあくまでハマったという形になりそこまで個体の評価に繋がらないが、今回の高松宮記念はSとかCのレースなのに豊富なLでのみ込んだというイメージで、かなり個体の量とか許容量の証明になる。この結果を受けてLの要求のある舞台(休み明け、延長、外枠、少頭数、広いコース)ではこの馬はかなりの強さを発揮出来ると見ている。
そして今回は道悪のスプリントG1からの直行という異端臨戦で延長で適距離戻りで高速の東京コース替わり。完全にLのベクトルに乗って能力を発揮出来る臨戦になっている。ノームコアが同じ形で高松宮→VMで巻き返しているのと同じイメージ。延長で位置を取って中団から前目の外を走ればほぼ確実に好走して来る。初の古馬マイルG1という鮮度もあり、東京コースでLでアーモンドアイに勝てるとしたら今回のタイミングのこの馬だけ。このタイミング、この臨戦で負けたらもう東京では勝てない。
⓬セイウンコウセイ SM
重めのタイプで、年齢を重ねた影響で連続好走というよりはシルクロードSのような休み明けのタイミングがベストになってきている。前走の踏ん張りも評価できる内容だとは思っているがここは違うかなという印象。延長でマイルで道中タメを作ってどうこうというタイプでは無くて、あくまでスプリント戦の中で体力で押し切るというイメージの馬。
⓭ヴァンドギャルド SM(C)
出遅れ癖があり前走も出遅れからの大外一気になったがかなりのグイグイ感で異次元の追い込みは見せていた。個体としては走れる状態にあると思うので、外枠にも入ったしあまり何も考えず出たなりで無欲の差しで構わないのでこれは押さえで評価しておいた方が良いかな。レース質次第では食い込んでくる可能性がある。前で楽をしてスイスイとやったインディチャンプよりは断然可能性を感じる。
⓮ダノンスマッシュ L
これはオーシャンの圧勝から見事にL化してしまっている。前走は高松宮記念で苦しんでからの1400への延長で逃げのショックを使っておりかなりの苦→楽でのパフォーマンス。Sを感じる逃げでもなかったのでここはタイミングとしてはキツい。さらなる延長になるので逃げられるかもしれないし、最悪でも2〜3番手は取れると思うが個体として前走以上のパフォーマンスは考えづらい。
【予想】
◎⓫グランアレグリア
◯❺アーモンドアイ
△⓭ヴァンドギャルド
△❾アドマイヤマーズ
☆❽ケイアイノーテック
朝から晴れるみたいなので結構乾きそうで馬場想定は重めの量〜稍重です。
◎グラン、◯アーモンドアイともに良馬場の方が良いと思いますが、稍重程度ならそのままこの2頭で良いかなと考えました。ダノンの3頭は全然手を出す気にならないし、インディチャンプももちろんそうだしという事でやはりグランとアーモンドが抜けているかなという事で上位評価しました。
3番手以降は可能性チームですね。個人的には道悪なら☆ケイアイノーテックが面白いかなと思いましたが、タイプこそ違えど同じ無欲の差しチームのヴァンドギャルドもがっつりオッズがついているのでそれであればリズム的にヴァンドギャルドの方が上かなという事です。
もう一頭の△アドマイヤマーズはとりあえず個体を高く評価しているので臨戦とか相手関係とかは抜きにしてここは一旦評価しておきましょうというイメージです。